「風の谷のナウシカ」は宮崎駿監督の初期作品で、その独特の世界観は観る人を圧倒するくらい奥の深い物語ですよね。
その「風の谷のナウシカ」はコミックとしてすでに発刊されていたものを映画化したもので、おおよそは原作の流れに沿って作成されていますが、実はオリジナルと異なる部分が存在するのです。
また、内容が複雑で考察ポイントも多いことから、憶測が飛び交って多くの都市伝説が生まれました。
そこで今回は「風の谷のナウシカ」の中でも特に怖い、ナウシカが人造人間だったという説について紹介します。
ナウシカが人造人間であるという噂は真実
「ナウシカは人造人間であり、本当の人間ではない」という都市伝説がありますが、これは真実です。
「風の谷のナウシカ」には原作があり、その原作に「ナウシカ=人造人間」のことが書かれています。
ではどうして人造人間を作ったのでしょうか?
人造人間を作った理由は、ナウシカでポイントとなる「腐海の秘密」にありました。
腐海の秘密
「風の谷のナウシカ」には腐海と呼ばれる森が存在します。
腐海で発生する毒ガス(瘴気)によって、腐海に住む生物以外は呼吸器を装着しないと生きていけません。
また、腐海には多くの巨大な蟲たちが住んでいて、人間を襲うこともあります。
腐海で瘴気を発生させているのは、森に住む植物。
植物の胞子が一つでも国に持ち込まれれば、国はあっという間に腐海になってしまう、そんな怖い植物なのです。
そんな植物がいる森には普通の人間は近づきませんよね。
しかし、ナウシカはこっそり腐海に入って、試験管に植物の胞子を採取。
お城にある秘密の研究所に持ち帰り、なんと腐海の植物を育て始めます。
なぜナウシカは人間にとって怖い植物を育てていたのか?
ナウシカは腐海と人間が共存できる世界を作れないかと探るために研究をしていたのです。
その結果、腐海の植物たちはきれいな水と土で育てると、瘴気を発生させないことがわかりました。
つまり、人間が暮らしている世界が汚染されていたということに・・・。
なぜ世界はこんなに汚染されてしまっていたのでしょうか?
汚染された世界で生きている
原作で腐海が発生した理由について説明されています。
はるか昔、人類の産業文化が発展し、また戦争を繰り返すことによって、環境がどんどん汚染されていきました。
「風の谷のナウシカ」の世界を汚したのは、私たち人類だったのです。
そこで人類はそんな汚れた世界は焼き払って浄化しようと、「風の谷のナウシカ」の中でも印象的で怖い巨神兵(巨大な生物兵器)を作りました。
「火の七日間」と呼ばれるほど、激しい炎で世界を焼き尽くしてリセットしたのです。
そして、「腐海の植物」と腐海を守り拡大させる役割を持った「蟲」を作り、人類がまた住めるように世界を浄化させることにしました。
しかし世界の浄化には何千年という月日が必要になるため、人類はその高度な科学技術によって卵のようなものに入ってスリープ状態に。
そして浄化作業を全て終えたとき、その眠りを覚ます役割が必要です。
それが汚染された環境でも生きていけるように改造された人間であるナウシカたちでした。
コミック版の「風の谷のナウシカ」では、ナウシカは自分たちが人造人間だったことに気づきますが、それを知ったときのナウシカはどんな気持ちだったのでしょうね・・・。
ナウシカたちの運命
ナウシカたちが人造人間だったというだけでも怖いですが、もっと怖いのはその先です。
人造人間の役割は世界の浄化後、スリープ状態にある人類を目覚めさせること。
しかし、人類が目覚めたとき、人造人間たちと争いが起こるかもしれません。
そりゃそうですよね。
突然自分たちとは違う人たちが起きてきたらパニックになりますもの。
人類はそんなリスクを踏まえ、浄化された世界では人造人間は生きられないようにしていたのです。
人造人間は人類より毒の耐性が高く作られていますが、逆に浄化された大気が猛毒になるように設計されていました。
つまり、世界を浄化してしまったら、ナウシカたち人造人間はすべて死んでしまうのです。
衝撃的なラストシーン
アニメのストーリーは原作の途中までなので中途半端な終わり方をしていますが、原作のラストは強烈です。
自分たちが人造人間だと悟り、この先は滅びる運命で世界の浄化は止められないと知ったナウシカは、とんでもない行動に出ます。
人類は「新人類の卵」も用意しており、新人類の世界は争いもなく平和な世界になるようにと「詩」と「音楽」も用意して、人々の心に平安をもたらすようなシステムを作り上げていました。
ナウシカはそのシステムすべてを破壊して、新しい世界の可能性を全て消してしまったのです。
彼女は世界を破壊した人類を目覚めさせないという選択をしたことによって、新世界の破壊者になってしまいました。
「風の谷のナウシカ」は宮崎駿監督が「アニメ化は不可能」と言ったように、原作を読んでいても理解できない人が大勢いるような作品です。
この事実を知った後にまたアニメを見てみると、違った見方ができそうですね。
風の谷のナウシカに関する都市伝説を紹介
「風の谷のナウシカ」にはナウシカが人造人間の他にも都市伝説があります。
どのようなものがあるか紹介していきます。
ナウシカのモデルは2人の姫
ナウシカのモデルは2人いると言われています。
1人目は、『ギリシア神話小事典』に登場するナウシカア。
美しく優しい彼女の望みはオデュッセウスの妻になることでした。
2人は結ばれますが、オデュッセウスは故郷に帰ることを望んでいたので、それを知ったナウシカアは、自分の想いを抑えて身を引きます。
ナウシカの名前はナウシカアから来ているかもしれませんね。
もう1人は、平安時代の『堤中納言物語』に収録されている「蟲めづる姫君」の蟲愛づる姫。
彼女は気高く美しい女性でしたが、化粧もせず、お歯黒もつけず、ゲジゲジ眉毛の変わった人でした。
そんな彼女が最も愛するのは「毛虫」。
女房たちや母親はそんな彼女を叱りますが、姫に思いを寄せる男性もいたのです。
それぞれ、自分よりも他人を優先する優しさや、自然への愛など、ナウシカに共通するものがありますね。
舞台は火星
「風の谷のナウシカ」の舞台は火星であるという都市伝説があります。
舞台は火星という都市伝説が出たのは、
- あまりにも荒んだ世界なので地球とは思えないから
- 「火の七日間」の「火」は火星の意味
- ナウシカが使っている「メーヴェ」は翼が小さすぎて、あのサイズでは地球上では飛べないけど、火星の重力は地球の三分の一程度だから飛べる
という理由のためです。
「メーヴェ」の説はちょっと信ぴょう性がありますね。
また、「風の谷のナウシカ」の舞台を火星だとする説を後押ししているのが、人類の起源が火星にあるとする「人類火星起源説」と呼ばれるものです。
かつて火星にいた人類が何かしらの理由で火星を捨てて地球にやってきたという説なのですが、このことから「ナウシカはかつて人類がいた火星を舞台にしているのではないか」とまことしやかに語られています。
「風の谷のナウシカ」の世界が火星かどうかについてはわかりませんが、おもしろい考察ですね。
まとめ
「風の谷のナウシカ」の都市伝説である、「ナウシカの正体は人造人間」ということが本当だと知って驚きです。
都市伝説として噂をされたのは、おそらくコミック版の「風の谷のナウシカ」を最後まで読んだ人が少ないからでしょう。
一度読んだだけではすべて理解するのは難しい、複雑なお話なんですよね。
ぜひ一度原作を読んでみてください。